BUMP OF CHICKENのMerry Christmas
俗に言うクリスマスソングとはちょっと違う気がする。
だけど私にとって1番しっくりくるクリスマスソング。
たくさんの景色が浮かんでくる曲
「大声で泣き出した毛糸の帽子」
「肩ぶつけて頭下げて睨まれた人」
「嘘つきが抱き締めた大切な人」
「しまう電話の向こう」
「待ちぼうけ腕時計赤いほっぺた 白い息で冷えた手を温めながら」
すれ違う人はみんな知らない顔だと言えどもたくさんの人が出てくる。
「まちはまるでおもちゃ箱手品みたいに
騙すように隠すようにきらきらひかる」
日常の色々、人の抱えている色々、この日だけ忘れて、というかまちのきらめきで書きけ消されたように隠される。
「街はまるでおもちゃ箱あなたも僕も
誰だろうと飲み込んできらきらひかる」
どんな人だろうと…大切な人と過ごす人、夜遅くまで仕事に励んだ人、どうにもならない事情を抱えている人、一人で寂しい人、とんでもない過ちをしてしまった人がそこにいたとしても、街というおもちゃ箱は無条件にみんなみんな飲み込んで、ただただ、きらきら光る。
「誰かに優しく出来ないかな
すべて受け止めて笑えないかな」
「いつもより一人が寂しいのは いつもより幸せになりたいから 比べちゃうから」
こんな日だからこそすべて受け止めて笑いたい
街がきらきらしてるから、なんだか自分も便乗していつもより幸せになりたい。けどそう思うからこそ寂しさが倍増してしまう。
「許せずにいること 分からないこと
認めたくないこと 話せないこと」
「今夜こそ優しくなれないかな
すべて受け止めて笑えないかな
僕にも優しくできないかな
あなたと楽しく笑えないかな」
わかる。日々の色々、色々で済ますのはあまりにも簡略化しすぎだけど、『許せずにいること』も『分からないこと』も『認めたくないこと』も『話せないこと』も本当にごろごろとある。
それを今日だけでも自分にも優しく。誰かにも優しく。
そんな日もあってもいいだろう。
「信号待ち流れ星に驚く声
いつも通り見逃したどうしていつも
だけど今日はそれでも嬉しかったよ
誰かが見たのなら素敵なことだ
そんな風に思えたと伝えたくなる
誰かにあなたに伝えたくなる」
自分じゃない誰かを思える自分が居ること。それが嬉しい。
それを伝えたくなるあなたがいることが嬉しい。
「優しくされたくて見てほしくて
すれ違う人はみんな知らない顔で」
「知らない顔で同じラララ
しまう電話の向こう
同じラララ
そうだといいね
そんなこともないかな
イヤホンの向こう
同じラララ」
きっとこれは誰かと過ごす幸せを歌っているわけではない。
むしろ、まちを1人で練り歩いて客観視している曲。
少しいつもより1人の寂しさが際立つけれど、知らない人同士が同じ空間にいて、街が誰もかれも飲み込んで1つのことを共有している。
人にも自分にも優しい気持ちになれる。
それだけでなんか素敵じゃないか、そんな幸せで良いじゃないかと言っているようなクリスマスソングに留まらない1曲だと思う。