ordinary day

思ったことを気ままに。自分を構成するものとは。他者とは。旅や自然。

「グラスホッパー」 「マリアビートル」

 

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グラスホッパー   マリアビートル   作者 伊坂 幸太郎

 

 

この手のジャンルはめったに読まない。

人から勧められて読んだ2冊。


時系列で言うとグラスホッパーからマリアビートルと読み進めるのが一般的。
続編とかではなく独立した話になっているけれども、マリアビートルにグラスホッパーで出てくる人の名が出てくるという感じ。

どちらも「殺し」そういう業界で起こる話。

こういうサスペンス?系は苦手だ。単純に人が殺され殺していくような。単純な悪だとか正義とかの話が好きじゃない。

だけどこれは単なる殺し合いの物語ではなかった。

人間の自我、弱さ・強さ・欲・卑小さ・賢さ・狡さ、疑心、距離、優劣、心理的人間操作、情報操作、人を動かすもの、観察、俯瞰、守るもの…

それぞれの立場・事情、視点によってかわるもの、どちらにもなりうる、本当の悪とは…

いろんなことが読んでいて頭に浮かぶ
人間の全ての性質が露になっている物語な気がする。。

 

私、これを読むまであまりなんにも考えてなかった。自分のことはいつも考えているけど。

改めて考えると、無意識に人と距離を保つために放たれる言葉があり、人に近づきたくて放たれる言葉もある。無意識なのだ。無意識のうちに瞬時に人はこういうと大抵こうなると予測して判断して言葉を発していたりする。

私は自分で、(今のこう言ったら相手を突き放すことができる。近づきすぎることなく。という思いからそういったんだ。)って言った後に気付くことがよくある。

無自覚でしたその発言に驚いたり、(私、この人とこういう距離感でいたいのか)と気付かされる。

きっと気付くか気づかないかで誰もがやっていることではないかと。

意図的にやっているのと無自覚にやっているのとではまた話が違ってくる気もする。

どちらがより賢くてどちらがより狡くてどちらがより怖いのだろうか。

 

そして、本物の悪とはなんだと考えずにはいられなかった。物理的な悪や生理的な悪。何の感情も入れずに見たら重いも軽いもない。

この物語はみんな悪をはたらいているのに読んでいるうちにこの人は助かってほしいだなんて思ってしまう自分がいたことに気付いた。

皆同じ悪なのに。誰が一番悪いとかそんなのどうでもいいというか初めからそんなのないはずなのに。

感情があるから物事を俯瞰的に平等にみるのはやはりなかなか難しい。

 

なんといっても登場人物にそれぞれ個性があり、読んでいて飽きなかった。

それぞれの立場に場面が切り替わり物語が進んでいくのも変化がありどんどん読み進んでいく。

「殺し」に焦点を当てたのではなくて、上に書いたようなことに焦点が当たっているので殺し殺されの物語が苦手な私も読んでいてあまりしんどくない。

多少は読み終わった後に、はぁーっとため息をつきたくなるような感じではあるけれども。

悪を描いた心理的、情緒的な物語。

 

マリアビートル (角川文庫)

マリアビートル (角川文庫)

 

 

 

グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)