職場で、くつくつ、くつくつ…
誰かが果物を煮ていた。
胸の奥底にじんわりと暖かい熱が届いた感覚があった。
実家の台所から聞こえる煮物の音。
勿体ないからと部屋の明かりを付けずに、流しにある明かりを灯して暗がりの中に立つ母の後ろ姿。
静けさの中に、くつくつ、くつくつ…
私はこれを知っているんだ。
幸せなことだと思った。
それだけで十分な気がした。
職場で、くつくつ、くつくつ…
誰かが果物を煮ていた。
胸の奥底にじんわりと暖かい熱が届いた感覚があった。
実家の台所から聞こえる煮物の音。
勿体ないからと部屋の明かりを付けずに、流しにある明かりを灯して暗がりの中に立つ母の後ろ姿。
静けさの中に、くつくつ、くつくつ…
私はこれを知っているんだ。
幸せなことだと思った。
それだけで十分な気がした。